• Skip to primary navigation
  • Skip to main content
  • Skip to primary sidebar
  • Skip to footer

日本映画100年史

本【日本映画100年史】をリアルタイムで加筆していく、ライブブックブログ!

  • 令和
  • 平成
  • 昭和(後期)
  • 昭和(中期)
  • 昭和(初期)
  • 大正
  • 明治
  • アニメ
  • よもやま話

劇場が泣いている

2020.02.21 by 西川昭幸

0

1966(昭和41)年〜1988(昭和63)

映画はフィルムからデジタルへ

2013(平成25)年12月の日本映画製作連盟の統計によると全国のスクリーン数は3,318。この内、フィルム上映のスクリーンが487(約15%)。後は2〜3年前からデジタル化になっている。

映画館を経営する会社も様変わりしてきた。新興勢力の台頭である。スーパーや、複合ビルに映画館が集中したため、ワーナーなどは家賃が払えずイオンに吸収されてしまった。

現況の興行勢力図

スクリーン別に見てみると、イオンの「イオンシネマ」609。東宝系の「TOHOシネマズ、他」547。ユナイテッド・シネマ㈱の「ユナイテッド・シネマ、シネプレックス」320。松竹、「MOVIX、他」259。東急の「109シネマズ」165。東映系の「T・ジョイ、他」152。㈱コロナの「コロナシネマワールド」129。佐々木興行㈱の「シネマサンシャイン」97。この9社で2,278スクリーン。実に全国の68,7%を占めている。

「シネコンプレックス」の画像
シネコンプレックス

この9社は、殆ど映画館をデジタル化にした。ところが、このデジタル化が劇場を泣かせている。機械故障が続出しているのだ。

トラブルが絶えない配給システム

製作会社が作品のコピーを恐れてコピーガードシステムを採用している所に問題が有る。少し専門的になるが、作品はセキュリテイーに重きを置いたDCP加工され、ハードディスクで配給されている。

映像と音声が別々に送出され、データーはサーバーに取り込まれ映写する。洋画の場合はこれに字幕用ディスクが付随する。

要するに邦画は映像と音声。洋画はこれにスーパーインポーズが入る。これらを1つに纏めてスクリーンに投射する。ところが映像と音声が同調しない。字幕スーパーが口と合わない。全く音の出ない場合が有るなど、トラブルが絶えない。

デジタル機器は雷にも弱い

また複合(商業)ビルは、電源が切れたり、ボルト数が落ちたり、エレベータノイズが入ったりと一定の電源が確保されず、映写が途切れたりする。また、デジタル機器は雷にも弱い。磁力が働くのか、映写が止まることが多い。

併せて、最近のスーパーや複合ビルには映写室が無い。坪いくらの計算を強いられビルは経費削減と、機器のデジタル化で映写設備は壁に埋め込みで設置される。事務所で映画のオペレートをしているのが現状で、映写トラブルの場合は苦労する。

デジタル化が劇場を泣かせている

現場では、映写トラブルが起きた場合、お客様に招待券を渡し帰って頂くか、別の映画を観せて穴埋めしている。これが毎日、全国の何処かで起きている。事故は日常茶飯事の出来事で、新規システムの過度期とはいえ、デジタル化が劇場を泣かせている。

高額な設備投資で過大な負担

もう1つ問題が有る。フィルムの映写機に変る、デジタル映像機器のサーバーとプロジェクターが1,200万円程掛かることだ。過大な設備投資で、これが弱小映画館には負担で閉館が相次いだ。

銀行やローン会社の借り入れも電気機器扱いされ、ローンが五年間しか組めず、返済を困難にしている。また、現場では映写技師が高齢化して、デジタル化に付いていけず退職する人が多かった。

活動屋魂が薄れて行く

そのため、映画を知らない若者が技術だけで、業界に携わり、往年の活動屋魂が薄れて行く事へ危惧する声も聞かれる。

また、フィルムしか上映出来ない映画館は、2012(平成24)年以降の新作が上映できない。製作会社がフィルム製作をしていないからだ。いろいろ課題のある映画界だが、徐々に変わって行くにしても、早急な対策が望まれる今日この頃である。

拙著<美空ひばり最後の真実>が発売中です。

Filed Under: 昭和(後期) Tagged With: シネコンプレックス

Primary Sidebar

著者紹介(西川昭幸)

アバター1941年北海道生まれ。東洋大学社会学部卒。
映画会社勤務などを経て現在、公益社団法人理事。
<主な著作>
「北の映画物語」(北海タイムス社)、
「美空ひばり公式完全データブック 永久保存版」(角川書店)、
「活字の映画館 明治・大正・昭和編」(ダーツ出版)、
「日本映画100年史」(ごま書房新社)、
「美空ひばり最後の真実」(さくら舎)、
「昭和の映画ベスト10、男優・女優・作品」(ごま書房新社)

四方山話

「大林宣彦監督」の画像

「映像の魔術師」大林宣彦監督死去

2020.04.16 By 西川昭幸

「理想の母」を演じた名女優・八千草薫

2020.04.04 By 西川昭幸

98歳「日本一のおばあちゃん役者」他界 2010(平成22)年

2020.04.03 By 西川昭幸

他の四方山話記事を読む

アニメ

自分の感情をストレートに出すだけが人間ではない

2020.04.01 By 西川昭幸

日本映画に対するオマージュではなく、生きようとしている人に対するオマージュ

2020.03.24 By 西川昭幸

この胸が詰まっている感じに名前を付けてください

2020.02.24 By 西川昭幸

他のアニメ記事を見る

タグ一覧

スタジオジブリ (5) トーキー映画 (5) マキノ雅弘 (5) 三船敏郎 (14) 中村錦之助 (4) 今井正 (8) 勝新太郎 (5) 原節子 (5) 吉永小百合 (5) 大映 (9) 大河内傅次郎 (4) 宮崎駿 (6) 小津安二郎 (5) 尾上松之助 (8) 山本嘉次郎 (3) 山田洋次 (8) 市川崑 (6) 市川雷蔵 (4) 新東宝 (5) 日活 (19) 木下恵介 (7) 東宝 (66) 東映 (48) 松竹 (43) 栗島すみ子 (3) 梅宮辰夫 (3) 森谷司郎 (6) 森道夫 (6) 森雅之 (3) 活動写真 (15) 深作欣二 (5) 渥美清 (6) 片岡千恵蔵 (4) 牧野省三 (5) 石原裕次郎 (7) 稲垣浩 (5) 美空ひばり (8) 衣笠貞之助 (4) 角川映画 (4) 角川春樹 (5) 阪東妻三郎 (10) 降旗康男 (4) 高倉健 (12) 高峰秀子 (6) 黒澤明 (21)

Footer

新刊紹介

最近の投稿

  • 平成14年の日本映画年間ベスト10、No.1,2,3 2020.06.18
  • 平成13年の日本映画年間ベスト10、No.7,8,9,10 2020.06.18
  • 平成13年の日本映画年間ベスト10、No.4,5,6 2020.06.01
  • 「蜜蜂と遠雷」(配給/東宝) 2020.05.23

検索

Copyright © 2021 · 日本映画100年史