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日本映画100年史

本【日本映画100年史】をリアルタイムで加筆していく、ライブブックブログ!

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昭和初期の映画界を牽引した立役者(阪東妻三郎)-その2-

2020.01.02 by 西川昭幸

阪東妻三郎‐その1‐を読む

阪東妻三郎(昭和28年没)  

昭和23年に阪妻の晩年の代表作「王将」に出会う。

時が過ぎ、敗戦になった直後、人情喜劇「狐の呉れた赤ン坊」をヒットさせ、「犯罪者は誰か」、また、チャンバラの無い「素浪人罷り通る」などを撮っていたが、1948(昭和23)年「王将」(監督:伊藤大輔)に出会う。この作品で、無学の将棋の名人・坂田三吉を演じ晩年の代表作となった。

昭和24年には「左平次捕物帳・紫頭巾」のリメークを撮り、「破れ太鼓」(監督:木下恵介)、「大江戸五人男」と、興行的にも成功を収めて行く。

昭和27年「丹下左膳」、「王将一代」の撮影中、高血圧で健康が優れなくなり、昭和28年「あばれ獅子」の撮影中に倒れた。京都の自宅で静養していたが、7月7日脳膜出血のため逝去。51歳だった。子供は四男あり、三男・正和、四男・亮、ともに俳優として活躍している。長男の田村高廣も俳優だったが逝去している。

 阪妻は無声映画からトーキー映画へ、そして戦中・戦後と、正に近代映画の創成期を歩んで来た。俳優、監督、プロダクション経営、撮影所建設、外国映画との提携・出演と、やっていないのは劇場経営だけで、日本映画を代表する大スターの生きざまは壮絶だった。やるもの、なすもの桁違いで、剣戟王、演技派俳優としても名を馳せた。

「闇の影法師」の画像
闇の影法師(昭和13年)/轟夕起子と

阪妻は豪放磊落で人情家であった。

私の好きな俳優さんで、トーキー映画初期の1938(昭和13)年に公開した「闇の影法師」が好きだった。悪役の武士が夜の巷で危害を及ぼそうとするとき、忽然と闇夜に現れ、「何者だ!」と叫ぶ武士に、あの独特のカン高い声で「ヤミのカゲボウシ」と名乗り覆面の阪妻が現れる。これにしびれた。昭和25年「影法師・寛永坂の決斗」、「續・影法師・竜虎相搏つ」などもある。

東映作品に只一作出演した、1951(昭和26)年8月公開の、子母沢寛原作「天狗の安」(監督:松田定次)も、忘れられない。

阪妻は豪放磊落で人情家であった。昭和8年頃、千葉県の阪妻撮影所近くに銭湯があった。自分一人が入るために、その銭湯の朝風呂をいつも貸し切りにしていた。月に10円支払ってわざわざ沸かせた。当時の銭湯代が7銭位の時である。

阪妻さんはいつも「悪いね、悪いね」って入って来る。普通なら借り切っているので、ゆっくり入ればいいのに「すぐ出るから、すぐ出るから」、悪いねと云いながら帰るんです。

また、撮影が終わった夜も来るんです。他のお客さんが「阪妻さんが来た、来た」って大騒ぎ。当人は「すみません、おじゃまします」と湯に入っていくんです。そこで、みんなと世間話をして帰るんです。また私の孫が銭湯で遊んでいると、いつも「いい子だ」ねって50銭くれるんです。孫がいないと「きょう、なみちゃんいないの」って言って淋しがるんです。本当に愉快な人でした」(菊井条花談)と、いう逸話も残っている。阪妻の一面が伺える話である。

<主な出演作> 「鮮血の手形」、「影法師」、「落下の舞」、「異人娘と武士」、「雄呂血」、「砂絵地獄」、「鼠小僧治郎吉」、「清水次郎長伝」、「雪の渡り鳥」、「魔像」、「恋山彦」、「血煙高田馬場」、「闇の影法師」「大岡政談・魔像」、「無法松の一生」、「狐の呉れた赤ん坊」、「王将」、「破れ太鼓」、「天狗の安」、「大江戸五人男」、富士に立つ影」、「江戸最後の日」、「あばれ獅子」、「忠臣蔵」。

拙著<美空ひばり最後の真実>が発売中です。

Filed Under: 四方山話, 昭和 Tagged With: 伊藤大輔, 木下恵介, 松田定次, 阪東妻三郎

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著者紹介(西川昭幸)

1941年北海道生まれ。東洋大学社会学部卒。
映画会社勤務などを経て現在、公益社団法人理事。
<主な著作>
「北の映画物語」(北海タイムス社)、
「美空ひばり公式完全データブック 永久保存版」(角川書店)、
「活字の映画館 明治・大正・昭和編」(ダーツ出版)、
「日本映画100年史」(ごま書房新社)、
「美空ひばり最後の真実」(さくら舎)、
「昭和の映画ベスト10、男優・女優・作品」(ごま書房新社)

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