
1955(昭和30)年〜1965(昭和40)年
1961(昭和36)年の世相
〈バラエティー番組が人気に〉
この年、2つのバラエティー番組が人々をテレビの前にくぎづけにした。4月8日から放送開始した「夢であいましょう」(NHK)と、6月4日スタートのカラー放送「シャボン玉ホリデー」(日本テレビ)である。
毎週、歌や踊り、爆笑コントがブラウン管に映し出され、茶の間は華やかなショーに酔いしれた。30分はあっという間にすぎていった。

「夢であいましょう」人気
「夢であいましょう」は人気デザイナー中嶋弘子が司会で、上半身を右に傾けたご挨拶から始まり、コントは黒柳徹子、お笑いは渥美清が軽快でモダンな芸風を披露していた。台本は永六輔、歌は中村八大などが担当し、この番組から色々な名曲が生まれた。
坂本九の「上を向いて歩こう」、坂本スミ子「夢であいましょう」、ジェリー藤尾「遠くへ行きたい」、梓みちよ「こんにちは赤ちゃん」ほか。この心を打つ歌とユーモアの人気番組は生放送で、五年間続いた。
「シャボン玉ホリデー」ギャグと音楽の応酬
一方の「シャボン玉ホリデー」は歌手・ザ・ピーナッツと、ハナ肇とクレージー・キャッツが中心で番組が進行。ギャグと音楽の応酬が人気を呼んだ。
クレージーの「お呼びでない?」「ガチョーン」など数々の流行語を生み、11年半も続く長寿番組となった。高度経済成長期の勢いに乗って「すてきな夢」を茶の間に運んだ。

〈中央公論社・社長宅襲われる〉
2月1日夜、右翼を名乗る男が、嶋中鵬二中央公論社・社長宅に侵入。夫人と手伝いの女性を刺し、夫人は重傷、女性は死亡するという衝撃的な事件が起きた。翌朝、右翼団体の大日本愛国党に所属していた17歳の少年が犯人として逮捕された。
少年は、前年の「中央公論」12月号に掲載された深沢七郎の小説「風流夢譚」が皇室を侮辱しているとして嶋中社長宅を襲ったもの。前年の1960(昭和35)年10月に浅沼稲次郎社会党委員長を刺殺した少年も大日本愛国党所属の17歳。
また、嶋中事件の直後、日教組の小林武委員長を、切り出しナイフで狙って、殺人予備の疑いで逮捕された少年も17歳だった。当時、こうした危険な17歳を生み出した環境や大人たちにも問題があると教育論が多く出された。
〈その他の出来事〉
1月1日、日本海側に降った大雪で国鉄ダイヤが大混乱。乗客15万人が車内で年越しする珍事が起きた。5月16日、韓国で反共・親米の朴正熙少将らによる軍事クーデターが起こり、20日、軍事革命内閣が成立する。
8月1日、大阪・釜ヶ崎で日雇い労働者ら約200人が暴動。警察隊と衝突する。9月3日、黒澤明監督「用心棒」主演の三船敏郎が、第22回ベネチア国際映画祭で最優秀男優賞を受賞。10月2日、柏戸と大鵬が揃って横綱に昇進。柏鵬時代が到来し、2人の取組に大人も子供も熱狂した。

