
1997(平成9)興収ベスト10
(一般社団法人日本映画製作連盟より)
1位/もののけ姫(東宝)
2位/失楽園(東映)
3位/ドラえもん・のび太のねじ巻き都市冒険記(東宝)
4位/新世紀エヴァンゲリオン劇場版(東映)
5位/モスラ(東宝)
6位/学校の怪談3(東宝)
7位/新世紀エヴァンゲリオン劇場版 シト新生(東映)
8位/ヘルメス愛は風の如く(東映)
9位/名探偵コナン時計仕掛けの摩天楼(東宝)
10位/虹をつかむ男(松竹)

1位/もののけ姫(東宝)
1997年7月12日に公開された。監督/宮崎駿、脚本/宮崎駿、制作/鈴木敏夫、製作総指揮/徳間康快、声の出演者/松田洋治、石田ゆり子、田中裕子、小林薫、美輪明宏、森繁久彌ほか。音楽/久石譲、主題歌/米良美一。
本作は、スタジオジブリが制作した長編アニメーション映画作品で、構想16年制作に3年をかけて製作した大作である。また、主題歌を歌った米良美一のカウンターテナー(女性のような高い声)が話題になった。
配給収入は113億円を記録している。これは20世紀における日本映画歴代の1位である。この作品は、室町時代の日本を舞台に、登場する武士や農民、商人などの時代考証は素晴らしく描かれている。
自然と人間の関係をテーマとし続けてきた宮崎駿が、アニメーション作家として蓄積した経験と技術の全てを注ぎ込んだ集大成的作品でアニメーション作品として初の日本アカデミー賞最優秀作品賞の受賞をはじめ、様々な国内の映画賞を受賞している。


2位/失楽園(東映)
1997年5月10日に公開された。監督/森田芳光、脚本/筒井ともみ、音楽/大島ミチル。出演/役所広司、黒木瞳、星野知子、木村佳乃、村上淳、柴俊夫、岩崎加根子、金久美子、小坂一也、あがた森魚、石丸謙二朗、原千晶、寺尾聡、中村敦夫、平泉成、速水典子ほか。
本作は、日本経済新聞」に1995年9月~翌年10月にかけてに掲載され渡辺淳一の恋愛小説を原作とした作品の映画化で、その後、1997年2月に講談社から単行本としても刊行された。
本作は、有島武郎の心中事件をモチーフとして、不倫を主題としていて新聞連載ものとしてはあまり例のない性描写が含まれているとして注目を集めた。また、題名となった「失楽園」というタイトルが流行語にもなった。
配給収入は23億円を記録している。本作は、多くの女性客を集めてヒットを記録。社会現象になるほどの話題を呼び、同年に上映された「もののけ姫」に次ぐヒット作品となった。作品は、第52回毎日映画コンクール:美術賞、報知映画賞、キネマ旬報賞を受賞。
大島ミチルが音楽賞、役所広司が第40回ブルーリボン賞:主演男優賞、第71回キネマ旬報ベストテン:主演男優賞を受賞、黒木瞳が第22回報知映画賞:最優秀主演女優賞、第21回日本アカデミー賞:最優秀主演女優賞、第10回日刊スポーツ映画大賞:最優秀主演女優賞を受賞。また、作品が第15回ゴールデングロス賞優秀銀賞も受賞している。

3位/ドラえもん・のび太のねじ巻き都市冒険記(東宝)
1997月年3月8日に公開された。監督/芝山努、脚本・原作/藤子・F・不二雄、主題歌は前作で武田鉄矢が降板したため、あの矢沢永吉が担当している。本作は、「月刊コロコロコミック」1996年9月号、10月号と1996年12月号から1997年2月号に掲載された大長編ドラえもんシリーズの映画化作品で、長編ドラえもんシリーズの第17作、映画シリーズ第では18作目。
本作の執筆中に藤子・F・不二雄は死去した。そのためこの作品が藤子にとって遺作となった。まんがでは、執筆途中で絶筆となってしまったが、この映画作品では監督の芝山努が、藤子・F・不二雄氏から話の大筋を全て教えられていたので、
完成することができたという。
のび太は、みんなに「牧場を持っている」と嘘をついてしまった。のび太は、あわててドラえもんが持ってきた小惑星引換券のはずれ券で牧場や町を作れそうな小惑星を探し出し、手に入れることができた。その小惑星は自然あふれる草原と美しい森と湖をそなえたすばらしいところだった。
そこでのび太たちはねじ巻き都市を作ることにした。生命のねじを使い次つぎと新しい生命を誕生させた。ねじ巻き都市は環境重視の大都市へと大発展し始める。そこに、前科100犯というの狂暴な脱獄囚、熊虎鬼五郎が侵入してきた。
鬼五郎はドラえもんのひみつ道具「タマゴコピーミラー」でクローン軍団を作り平和なねじ巻き都市を奪おうとしてきた。 なにも知らないのび太たちは「ねじ巻き都市」を守れるだろうか。
配給収入は20億円を記録している。全国のファンに惜しまれつつ他界した藤子・F・不二雄の構想半ばで絶筆したが残されたメモを元に完成させることができた作品だが映画版『ドラえもん』を一区切りする作品となった。本作は第15回ゴールデングロス賞優秀銀賞受賞作。ちなみに本作はコロコロコミック創刊20周年記念作品でもある。

