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日本映画100年史

本【日本映画100年史】をリアルタイムで加筆していく、ライブブックブログ!

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1982(昭和57)年の世相

2019.11.15 by 西川昭幸

1966(昭和41)年〜1988(昭和63)年

〈ホテル・ニュージャパン火災〉

2月8日午前3時半頃、東京千代田区永田町のホテル・ニュージャパン9階から出火。死者33人、重軽傷者29人を出す大惨事となった。延焼した階にはスプリンクラーが設置されておらず、壁もブロックを積んでベニヤ板を張っただけ。

更に火災報知機が切られていた事など、数々の手抜き、違法行為が被害を拡大した。都心の一流ホテルも、一皮むけば欠陥だらけだったことが露見した。社長の横井英樹は後に業務上過失致死で有罪判決を受ける。横井はニュージャパン買収後、利益優先の合理化を進めていた。

〈なぜだ! 三越スキャンダル〉

9月22日、日本橋・三越本店での定例取締役会で突然、社長解任が決議された。16対0の全会一致、完璧なクーデーターだった。このとき、社長の岡田茂が発した「なぜだ!」という言葉が流行語にもなった。解任の原因は納入業者との醜聞。

8月2日に開催された、ほとんどが偽物の「古代ペルシア秘宝展」などが問題になり、内部告発で三越のワンマン経営が暴かれた。社長の愛人・竹久みちが会社を私物化し、不良在庫や裏帳簿が見つかるなど、老舗百貨店の名声は地に落ちた。

「鬼龍院花子の生涯」の画像
鬼龍院花子の生涯(昭和57年)

〈北炭夕張炭鉱閉山〉

多くの犠牲者を出したガス突出事故から1年。10月9日、北海道夕張市のヤマの中核であった「北炭夕張新鉱」がついに閉山した。あとに残されたのは、抜け殻の街と、職を失った数多くの炭鉱労働者たちの姿だった。石炭産業の終焉の日でもあった。

〈その他の出来事〉

7月10日、関東以西が豪雨になり、26日までに死者行方不明345人、23日からの長崎県の集中豪雨で死者行方不明約300人が出る。

ひと足早く6月に開業していた東北新幹線に続いて、11月15日、東北・上越新幹線も開業。11月27日、中曽根康弘内閣が発足。当初は「角影」内閣などといわれたものの、多彩なパフォーマンスで「大統領型首相」を演出。「戦後政治の総決算」を掲げて、5年間におよぶ長期政権を維持した。

「蒲田行進曲」の画像
東映撮影所で撮影した、松竹「蒲田行進曲」

つかこうへいの舞台劇「蒲田行進曲」の映画化。この作品、角川春樹が東映へ持ち込んだが、岡田社長から「当たらないから」と断られた、いわくつきの作品。ところが角川と提携を希望していた松竹が飛びついた。

「蒲田行進曲」昭和57年

深作欣二監督で、1982(昭和57)年10月9日公開した。物語は、映画スター(風間杜夫)と、その取り巻きの大部屋役者(平田満)、そしてスターの子供を宿したまま大部屋役者と結婚した落ち目の女優(松坂慶子)、この奇妙な三角関係を映画製作の内膜を絡ませて描いた人情喜劇。

物語は松竹蒲田撮影所の話しだが、スタッフや撮影場所は東映。角川映画としては大量宣伝しなかった異例の作品で、松坂慶子などが歌う主題歌も流行り、口コミを中心に面白さが伝わった。

映画賞を総なめにした

映画は配収17億6千万円の大ヒット。昭和57年の配収ベストテン2位だった。上映終了後もアンコール上映が各地で起き、最終配収が19億円まで行った。

更に、この年の映画賞を総なめにした。キネマ旬報では、ベスト・テン1位、読者選出ベスト・テン1位、日本映画監督賞、脚本賞、主演女優賞、助演男優賞、読者選出日本映画監督賞。毎日映画コンクールでは、日本映画大賞、監督賞、助演女優賞、美術賞。日本映画フアン賞。また、ブルーリボン賞も獲得。

日本アカデミー賞では、最優秀作品賞、最優秀監督賞、最優秀男優賞、最優秀女優賞、最優秀助演男優賞、最優秀音楽賞を受賞している。

Filed Under: 昭和(後期) Tagged With: 平田満, 松坂慶子, 松竹, 深作欣二, 角川春樹, 風間杜夫

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著者紹介(西川昭幸)

1941年北海道生まれ。東洋大学社会学部卒。
映画会社勤務などを経て現在、公益社団法人理事。
<主な著作>
「北の映画物語」(北海タイムス社)、
「美空ひばり公式完全データブック 永久保存版」(角川書店)、
「活字の映画館 明治・大正・昭和編」(ダーツ出版)、
「日本映画100年史」(ごま書房新社)、
「美空ひばり最後の真実」(さくら舎)、
「昭和の映画ベスト10、男優・女優・作品」(ごま書房新社)

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