
1966(昭和41)年〜1988(昭和63)年
〈ウルフ・フィーバー〉
1月11日から始まった大相撲初場所。鋭い眼光と精悍なマスク、筋骨隆々とした肩で「ウルフ」の異名を持つ千代の富士が初優勝し大関に昇進した。7月の名古屋場所後には横綱となった。
181㎝、116㌔と小兵ながら、スピードとパワーにあふれる圧倒的な強さのニューヒーローが誕生した。その後、昭和最後の大横綱、千代の富士のウルフ・フィーバーが当分続いた。その反面、1月17日、大関貴ノ花が、大関在位50場所の最長記録を残して引退した。

〈ピンク・レディーが解散〉
3月31日、後楽園球場で社会現象まで興した「ピンク・レディー」が解散コンサートを開いた。昭和50年代前半、アイドル・ユニットの名を越え、凄まじい人気を誇った、ピンク・レディーの解散は正に衝撃的であった。

〈中国残留孤児の家族探し〉
3月2日、中国残留日本人孤児47人が成田空港に降り立った。35歳〜43歳までの男性23人、女性24人。ソ連が参戦し、混乱で家族らと離別した日本人孤児が集団で肉親捜しをする第1回の訪日調査で、まだまだ終わらない戦後が、ここにもあった。
〈北海道発・北の国から〉
10月9日、倉本聰の脚本によるテレビドラマ「北の国から」(フジテレビ系)がスタート。北海道の富良野を舞台に田中邦衛扮する黒板五郎と純(吉岡秀隆)と蛍(中嶋朋子)の家族が、家庭間の葛藤を抱え、周囲の人々と衝突しながら、たくましく成長していく姿を描きあげた。
放送当初は視聴率が低かったが次第に反響を呼び、人気番組となった。北海道の大自然も見どころの1つで、富良野の知名度が全国的になりロケ地は観光名所になった。
〈その他の出来事〉
1月25日、中国最高人民法院特別法廷が、「四人組」の江青・張春橋に死刑判決。1983(昭和58)年1月に無期懲役に減刑される。
2月15日、東京・有楽町の日本劇場(日劇)が、48年の歴史に幕を閉じて閉館する。
8月22日、遠東航空が、台湾で墜落。作家の向田邦子ら乗員乗客110人全員が死亡。9月8日、1億8千万円を愛人のために詐欺した三和銀行女性行員、マニラで逮捕される。
北海道にミステリー列車走る
「さよなら銀河鉄道999」の映画宣伝で、北海道にミステリー列車が走った。タイトルは「ミステリーツアーさよなら銀河鉄道999・ロマンの旅」、主催・札幌テレビ放送ラジオ局、協力・ホクレンほか、後援・国鉄北海道総局、近畿日本ツーリスト。

ツアーは、1981(昭和56)年7月25日から1泊2日で行われた。参加者は10歳から18歳迄。ラジオで呼びかけた応募者1,070人の中から抽選で450人が選ばれ、参加料9,999円を支払い、アンドロメダ行のパスポートを持って参加した。
当日、札幌駅発の列車、999号「アンドロメダ行き」は何処へ行くのか誰も知らない。心配な父兄はラジオから刻々流れる、列車情報を聞くより方法が無かった。まさにミステリーで、携帯電話も無い時代のこと。
「銀河鉄道999」の曲が高らかに流れた
列車には原作者の松本零士、キャプテン・ハーロックの声優・井上真樹夫などが乗り込んだ。札幌駅の始発ホームは父兄、マスコミ取材陣、一般の人がいっぱいで大混乱。発車ベルが鳴り、主題歌、ゴダイゴの「銀河鉄道999」の曲が高らかに流れ、999号は出発した。
列車内では、999に関わる謎解きクイズやサイン会などイベントが盛りだくさん。局アナウンサーは、車内イベントの紹介やラジオ中継などで、てんてこ舞い。途中通過駅をラジオで紹介するので、先を見越した多くのファンが沿線で手を振るなど盛り上がった。
駅名が「アンドロメダ駅」に
列車は最終駅、士幌線「上士幌駅」(1987(昭和62)年に廃線)に到着。列車を降りたら駅名が「アンドロメダ駅」になっている。
更に現地の小学生120人がマーチングバンドで出迎えてくれた。街には「歓迎・銀河鉄道999、ロマンの旅、ようこそ!ミルクのふるさと上士幌へ!」の横断幕が掲げられ、ブラスバンド隊を先頭に上士幌町市内のパレードが有り、大草原のイベント会場へ向かう。
イベント会場では北海道特産のブースがあり、ミルク、とうきび、いも、かぼちゃ、果物、海産物などが食べ放題。熱気球2基に順番で乗れるコーナーや乗馬体験も出来た。
舞台では松本零士、井上真樹夫とのトークなども実施。参加者は十分楽しんだ。その日の泊りは十勝川温泉。翌日、地域の観光名所を訪ね、札幌へ戻った。
こうしたイベントが全国各地で実施された
ラジオと地域の協力、企業や父兄の理解など沢山の協力で出来たイベントで、人の善意が集大成されたような企画だった。こうしたイベントが全国各地で実施された。もちろん映画「さよなら銀河鉄道999」が大ヒットした事は言うまでもない。 こうした企画は当時、筆者と宣伝課長・石川芳彰(後・東映専務)と、年間2本位は実施した。映画・俳優のスチール展を皮切りに「日曜まんが教室」「竹宮恵子・地球へ」「ヤマト展」「サイボーグ009展」「木枯し紋次郎展」「東映俳優歌謡ショー」「さよなら藤純子展」「タイアップの海外旅行企画」など枚挙に暇がない程実施した。映画イベントのはしりであった。

