• Skip to primary navigation
  • Skip to main content
  • Skip to primary sidebar
  • Skip to footer

日本映画100年史

本【日本映画100年史】をリアルタイムで加筆していく、ライブブックブログ!

  • 令和
  • 平成
  • 昭和(後期)
  • 昭和(中期)
  • 昭和(初期)
  • 大正
  • 明治
  • アニメ
  • よもやま話

1976(昭和51)年の世相

2019.10.08 by 西川昭幸

1966(昭和41)年〜1988(昭和63)年

〈ソ連機が函館空港に強行着陸〉

9月6日、午後、航空自衛隊のレーダーが北海道・積丹半島沖に航空機を捉え、領空侵犯のおそれありと、F14ファントム戦闘機2機をスクランブル発信させた。しかし、その後、レーダーから航空機は消え、午後1時48分、領空侵犯機が函館空港に緊急着陸した。

航空機はソ連のミグ25戦闘機、操縦士はベレンコ中尉と判明、ベレンコはアメリカへの亡命を希望した。ミグ25は当時ソ連の最新鋭戦闘機とされ、その性能は最高の軍事機密とされていた。

日本政府はミグ25を解体調査することにし、アメリカの協力を要請して徹底的に調査。ソ連はこれに猛烈に抗議したが、機体が引き渡されたのは調査が終わった11月12日だった。この事件で、日本のレーダー網の不備が暴露され、批判の声が上がった。

〈毛沢東死去、新たな時代へ〉

これまで中国を牽引してきた、周恩来首相(1月8日)、朱徳全国人民代表大会常任委員長(7月6日)、毛沢東首席(9月9日)、がこの年、相次いで逝去。

また7月28日、河北省唐山にマグニチュード7.8の直下型巨大地震が発生、公式記録で24万人を超す大惨事になった。建国から27年、文化大革命は終わりを告げ、中国は新しい時代を迎えることになった。

〈ロッキード事件〉

2月、米ロッキード社のコーチャン副会長が、米上院多国籍企業小委員会で、日本への航空機売り込みに際して、日本政府高官に30億円を贈賄したと証言した。日本国民と検察当局は「ロッキード事件」を初めて知ることになる。事件発覚後、今太閤の田中角栄・元首相が収賄容疑で逮捕され政界は大荒れになった。

2月6日、野党四党が衆議院予算委員会でロッキード問題を追及。16日、小佐野賢治・国際興業社主、若狭得治・全日空社長、渡辺尚次・同副社長を証人喚問。17日には丸紅幹部四人も証人喚問された。

〈その他の出来事〉

1月6日、京都市の平安神宮本殿などが全焼。新左翼過激派の時限発火装置による放火だった。3月2日、札幌市の北海道庁ロビーで時限爆弾爆発、死者2人、重軽傷95人が出る事件が起きた。犯人は東アジア反日武装戦線の犯行だった。

昭和51年「角川映画」誕生!

大映社長・永田雅一が死去したのは、1985(昭和60)年10月24日のことである。享年79歳。その死を報道した多くは、彼を「風雲児」と称して悼んだ。その永田雅一が、映画界から完全に姿を消すのは1976(昭和51)年であったが、この年、映画界は奇しくも新たな風雲児を迎えることになる。

角川春樹の登場である。この角川春樹の登場により日本映画界は、初めて外部からの進出によって、改革を迫られることになる。

「角川春樹」の画像
角川春樹(昭和61年)

映画製作の母体となる角川春樹事務所は、この年1月に設立され、資本金は600万円。この内、角川春樹の手持ち資金はたったの200万円。残りは友人からの協力だった。

彼のプロデュースした処女作「犬神家の一族」は、東宝・松岡社長の強力なバックアップの元、東宝が配給と興行を引き受けた。製作費に2億2千万円の巨費を投じた。

原作・横溝正史、監督・市川崑、出演・石坂浩二、あおい輝彦、高峰三枝子などの布陣であった。完成披露パーティーは、10月5日夜、東京プリンスホテルで行われた。

闇の中で、白木の棺が運び込まれた

千人の招待客が見守る中、突然、会場のあかりが消され、白塗りの舞踏手が2人、強いライトを浴びて狂ったように踊り始める。あまりに奇異な光景に、思わず声を上げる女性もいたが、その闇の中で、白木の棺が運び込まれたのに気づく者はいなかった。

人々が気づいたのは、白木の棺が静かに会場の中央に立てられた時だった。その棺を蹴破って登場したのは、不気味な仮面をかぶり、白のタキシードに着飾った角川春樹プロデューサーだった。その夜から、彼はスターになった。

劇的なデビューだったのは、プロデューサーの角川春樹だけではなかった。肝心の映画の方も1976(昭和51)年11月13日公開され、40日間で90万人の観客を動員するという大ヒットで、最終的には17億円の配収を上げた。

Filed Under: 昭和(後期) Tagged With: 市川崑, 石坂浩二, 角川映画, 角川春樹

Primary Sidebar

著者紹介(西川昭幸)

1941年北海道生まれ。東洋大学社会学部卒。
映画会社勤務などを経て現在、公益社団法人理事。
<主な著作>
「北の映画物語」(北海タイムス社)、
「美空ひばり公式完全データブック 永久保存版」(角川書店)、
「活字の映画館 明治・大正・昭和編」(ダーツ出版)、
「日本映画100年史」(ごま書房新社)、
「美空ひばり最後の真実」(さくら舎)、
「昭和の映画ベスト10、男優・女優・作品」(ごま書房新社)

四方山話

「大林宣彦監督」の画像

「映像の魔術師」大林宣彦監督死去

2020.04.16 By 西川昭幸

「理想の母」を演じた名女優・八千草薫

2020.04.04 By 西川昭幸

98歳「日本一のおばあちゃん役者」他界 2010(平成22)年

2020.04.03 By 西川昭幸

他の四方山話記事を読む

アニメ

自分の感情をストレートに出すだけが人間ではない

2020.04.01 By 西川昭幸

日本映画に対するオマージュではなく、生きようとしている人に対するオマージュ

2020.03.24 By 西川昭幸

この胸が詰まっている感じに名前を付けてください

2020.02.24 By 西川昭幸

他のアニメ記事を見る

タグ一覧

スタジオジブリ (5) トーキー映画 (5) マキノ雅弘 (5) 三船敏郎 (14) 中村錦之助 (4) 今井正 (8) 勝新太郎 (5) 原節子 (5) 吉永小百合 (5) 大映 (9) 大河内傅次郎 (4) 宮崎駿 (6) 小津安二郎 (5) 尾上松之助 (8) 山本嘉次郎 (3) 山田洋次 (8) 市川崑 (6) 市川雷蔵 (4) 新東宝 (5) 日活 (19) 木下恵介 (7) 東宝 (66) 東映 (48) 松竹 (43) 栗島すみ子 (3) 梅宮辰夫 (3) 森谷司郎 (6) 森道夫 (6) 森雅之 (3) 活動写真 (15) 深作欣二 (5) 渥美清 (6) 片岡千恵蔵 (4) 牧野省三 (5) 石原裕次郎 (7) 稲垣浩 (5) 美空ひばり (8) 衣笠貞之助 (4) 角川映画 (4) 角川春樹 (5) 阪東妻三郎 (10) 降旗康男 (4) 高倉健 (12) 高峰秀子 (6) 黒澤明 (21)

Footer

新刊紹介

最近の投稿

  • 平成14年の日本映画年間ベスト10、No.1,2,3 2020.06.18
  • 平成13年の日本映画年間ベスト10、No.7,8,9,10 2020.06.18
  • 平成13年の日本映画年間ベスト10、No.4,5,6 2020.06.01
  • 「蜜蜂と遠雷」(配給/東宝) 2020.05.23

検索

Copyright © 2022 · 日本映画100年史