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日本映画100年史

本【日本映画100年史】をリアルタイムで加筆していく、ライブブックブログ!

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黒澤明監督作品、「生きる」が映画の傑作

2019.09.10 by 西川昭幸

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1951(昭和25)年〜1955(昭和29)年

映画館に強盗出没! 

1952(昭和27)年、まだまだ戦後の混乱の影響は続いていて、世情は安定していなかった。喧嘩のあげくの殺傷沙汰、強盗、殺人と、新聞の社会面は暗い記事ばかりだった。戦後は映画館の火事も多かったが、泥棒や強盗に狙われたのも、この頃のことだった。

10月15日、札幌名画座に、ピストル強盗が現れたのは夜八時のこと。切符売り場の女性が、「近くに変な男が、うろうろしているな」と、思いながら金の勘定をしていた。ところが突然、顔の前にピストルをヌッと突き出され「金を出せ!」と凄まれる。

キャ〜と騒ぐ女性の隙をついて、ピストルを持った学生風の男は、そこに有った金をわしづかみ、「30分くらい騒ぐな!」と言い捨てて逃走。

事件発生から10日後、犯人は、ほとんど無一文で逮捕されている。その後、旭川でも映画館強盗があり、その他にも道内のあちこちの劇場が狙われた。何といっても人が集まるのが映画館。金がたんまりあるだろうと、強盗が流行った。

同じことが後年の、1953(昭和28)年1月にも起きた。札幌で映画のフィルム30巻を盗んだ4人組の高校生が、警察に逮捕される。前年末に松竹北海道支社から盗んだもので、時価42万円相当というフィルムを横浜に運び、朝鮮向けの密輸業者に売却しようとしていたところを逮捕された。

フィルムの盗難が、各地で相次いでいた頃である。それも1巻や2巻ではなく、映画1本分というのが殆どで、いったん盗まれたら出てこなかった。業者の間では「東南アジアの密輸ルートで捌かれているらしい」と噂になっていた矢先だった。

胃ガンの老人を主人公にした名作「生きる」

1952(昭和27年)は、何といっても黒澤明監督、志村喬主演の「生きる」が、映画の傑作と、一番評価が高かった。この映画、3分の1がお通夜の形式で語られる作品である。

胃がんの影におびえる市役所の一課長(志村喬)は、その不安を断ちたくて、長男夫婦に相談しようとするが、よそよそしくされて、言い出せない。

酒でも飲もうと飲み屋に行くと、髪の長い小説家から「この人は、胃がんという十字架を背負ったキリストだ」と言われる。やがて彼は婦人会の陳情で、場末に小さな遊園地をつくる事にする。彼は身を挺して働き、やがて死んでいく…。

「生きる」の画像
生きる(昭和27年)

黒澤明監督の最高傑作

この作品、老人を主人公にした名作の1本として、観る者に深い感銘を与えずにはおかない。黒澤明監督の最高傑作と賞する人も多い。また、志村喬が、まさにはまり役といった主人公を名演。雪の舞う公演で、ブランコに乗って「生命短し恋せよ乙女……」と、ゴンドラの唄を歌うシーンは感動的だ。

この年の1952(昭和27)年、興収のベストテンは、①お茶漬けの味(松竹)、②ひばり姫初夢道中(松竹)、③波(松竹)、④現代人(松竹)、⑤陽気な渡り鳥(松竹)、⑥大仏開眼(大映)、⑦悲しき小鳩(松竹)、⑧丘は花ざかり(東宝)、⑨呼子星(大映)、⑩丹下左膳(松竹)。

特筆すべきは、1949(昭和24)年「悲しき口笛」(松竹)で人気者になった、美空ひばり(15歳)主演作が3本ベスト・テン入りしている。

Filed Under: 昭和(中期) Tagged With: 志村喬, 黒澤明

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著者紹介(西川昭幸)

アバター1941年北海道生まれ。東洋大学社会学部卒。
映画会社勤務などを経て現在、公益社団法人理事。
<主な著作>
「北の映画物語」(北海タイムス社)、
「美空ひばり公式完全データブック 永久保存版」(角川書店)、
「活字の映画館 明治・大正・昭和編」(ダーツ出版)、
「日本映画100年史」(ごま書房新社)、
「美空ひばり最後の真実」(さくら舎)、
「昭和の映画ベスト10、男優・女優・作品」(ごま書房新社)

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