1966(昭和41)年〜1988(昭和63)年

<第4次中東戦争で石油供給制限>
10月6日、エジプト・シリア両軍がイスラエルを攻撃、第4次中東戦争が勃発した。1967(昭和42)年の第3次中東戦争ではイスラエルに奪われた地をアラブ諸国の手に奪回することが目的で、ヨルダン、サウジアラビアも参戦。
石油輸出国機構(OPEC)に加盟するペルシャ湾岸の6ヶ国は、戦争を有利に展開すべく、原油価格の引き上げを発表する。一方、アラブ石油輸出国機構(OAPEC)加盟10ヶ国は、原油生産の削減を発表、国際的に大きな影響を与えた。
石油の大半を輸入に依存している日本は、夜はネオンを消すなどの省エネ策を余儀なくされたほか、物価が高騰、物不足の流言によるパニック等の騒ぎが起きた。戦争は10月下旬に停戦したが、第一次石油危機の日本経済への打撃は大きく、高度経済成長の時代は終りを告げた。
<金大中事件>
8月8日午後1時15分頃、韓国の政治家・金大中が東京で拉致される。白昼堂々の犯行だった。金大中はホテル22階の知人の部屋を訪ね、食事を終えて部屋を出たところを男に殴打され、隣の部屋へ連れ込まれた。
その後、麻酔をかがされて意識を失って地下の駐車場に下ろされ、車で連れ去られた。金大中は当時の朴正熙大統領が提案した、大統領直接選挙制度に反対し、この反対運動の旗揚げを翌日に控えていた。この暴挙がKCIA(韓国中央情報部)の犯行だということは事件の直後から推定されていた。
9月5日、警視庁が駐日韓国大使館書記官の指紋を現場から採取したと発表し、当初は認めなかった韓国が、2007(平成19)年末、韓国政府設置の委員会は、事件がKCIAの犯行であったと発表した。
金大中事件は、日本国家の主権が問われる重大事件だったが、日本国は何故かうやむやな政治決着をする。この事件、世界のジャーナリスト達は考えられない決着に、歪んだ民主国家日本に唖然とした。このことが日本人に韓国の状況と日韓関係の歪みに目を開かせる契機となった。

<その他の出来事>
1月27日、米国、南北ベトナム政府、南ベトナム臨時革命政府がパリでベトナム和平協定と議定書に調印。28日停戦発効。29日、ニクソン米大統領がベトナム戦争終結を宣言する。
5月21日、山口百恵「としごろ」でデビュー。この年、森昌子、桜田淳子とともに「花の中三トリオ」と呼ばれる。

8月2日、野外で開催した「つま恋コンサート」が5万人以上の若者で超満員になった。吉田拓郎、かぐや姫などが参加した。8月、女優の吉永小百合(28歳)がフジテレビディレクターの岡本太郎(43歳)と結婚。相手が15歳年上なので多くのサユリストは複雑な思いを抱いた。
11月2日、大阪・千里ニュータウンのスーパーにトイレッペーパーを求める主婦が行列し、たちまち棚がカラになった。第4次中東戦争の影響で、石油がなくなる不安から起こった「オイルショック」の始まりである。
その後、国内は買占め、電力節減、燃料不足、狂乱物価…など、パニック状態に陥った。背景には田中角栄内閣の「日本列島改計画」によるインフレがあった。
11月21日、NHK紅白歌合戦最多17回出場の美空ひばりが落選。弟の拳銃保持や、ひばりの山口組との関係が取りざたされての不合格だった。

