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日本映画100年史

本【日本映画100年史】をリアルタイムで加筆していく、ライブブックブログ!

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映画業界の内紛

2019.08.14 by 西川昭幸

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1935(昭和10)年〜1944(昭和19)年

昭和12年「東宝」誕生!

東宝の創立は3つの主流が一体となって事業的に発展した会社である。東京のPCL(録音・現像)と、その姉妹会社PCL映画製作所(劇映画製作)、京都のJOスタジオ(劇映画製作)を、小林一三が創設した株式会社東京宝塚歌劇と提携して、自主的総合配給機関として創設したのが東宝映画配給株式会社である。

この3つはつねに緊密な提携のもとに有機的に運営された。これを称して「東宝ブロック」と呼ばれ、その背景をなす巨大資本の系列という点でも、既成勢力から敵視され迫害された。

「戦国群盗伝」の画像
戦国群盗伝(昭和12年)

当時、日活が巨額の負債に悩む中、東宝との提携を模索するが、これを阻止しようと松竹が東宝と正面衝突。そのため1937(昭和12)年7月に日活と提携した全プロ配給がしてしまった。

そこで東宝は、報復と自衛手段から各社の陣営に斬りこみをかけた。いわゆる俳優、スタッフの引き抜き作戦であった。

「東宝ボイコット」作戦

これに対して既成4社(松竹、日活、新興キネマ、大都映画)は、防衛と圧迫の両面作戦を展開。1937(昭和12)年4月以降、劇場に対して4社側作品と東宝作品の混合上映を禁ずる「東宝ボイコット」作戦の挙にでた。これに違反した劇場は4社側作品を提供しないという強硬なものだった。

当時、東宝が他社との併映をおこなっていた映画館は、日活系97、松竹系73、新興系52、大都系24の計246館であった。このボイコットにより東宝系は僅か17館になり大変な打撃を受けた。

だが、東宝は反撃に出る。更なる引き抜きの強化と、全プロ配給の増産計画をたて、PCLに3棟、JOに2棟の撮影ステージを増設する。また今井正プロダクションを傍系にし、東京発声映画製作所とも提携する。更に強力な企画本部を設立し、引き抜きで来た大物俳優、監督を優遇した。

こうした死中に活を求める捨て身の戦法は、俳優、演出陣の急速な充実に加え優秀作品を排出し、東宝への転向館は日を追って増加し、ついに不敗の体制を完備する。4社の圧迫が、反動的に東宝を強化し、不動のものとする逆効果を生んだ。

こうした渦中、支那事変が勃発し、戦局は拡大の兆しをみせていた。1937(昭和12)年9月、ブロック3社が急遽合併し、資本金350万円で「東宝映画株式会社」を創設した。これが、今日の東宝の母体である。

その後、東宝は企業の合理化を次々と進めた。製作面ではプロデユーサー・システムを採用、配給面ではクオーター・システム(歩合制)とフリー・ブッキング(自由配給)を実施した。

東宝の合理的な運営方法は、業界の不安定経済が宿命とされた映画界に、革新的な安定経済体制をもたらした。

しかも、太平洋戦争突入による映画統制で経営の安定化が、松竹と共に企業統制のワク外に置かれ、企業の存続が保障された。そうした中、1943(昭和18)年8月、株式会社東京宝塚劇場と合併、ここに社名を「東宝株式会社」と改めた。

その後も順風満帆の東宝だったが、終戦を境に急速に後退する。つまずきの最初は労働争議であった。これは別項で詳しく取り上げたい。

Filed Under: 昭和(初期) Tagged With: 日活, 東宝, 松竹

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著者紹介(西川昭幸)

アバター1941年北海道生まれ。東洋大学社会学部卒。
映画会社勤務などを経て現在、公益社団法人理事。
<主な著作>
「北の映画物語」(北海タイムス社)、
「美空ひばり公式完全データブック 永久保存版」(角川書店)、
「活字の映画館 明治・大正・昭和編」(ダーツ出版)、
「日本映画100年史」(ごま書房新社)、
「美空ひばり最後の真実」(さくら舎)、
「昭和の映画ベスト10、男優・女優・作品」(ごま書房新社)

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