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日本映画100年史

本【日本映画100年史】をリアルタイムで加筆していく、ライブブックブログ!

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終戦直後に始まる映画ブーム

2019.06.20 by 西川昭幸

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1946(昭和20)年〜1950(昭和24)年

欧米の映画興行が復活

1945(昭和20)年末の映画法廃止により、製作や配給・興行面での検閲制度がなくなり、戦時下に禁止されていた欧米の映画興行が復活した。

ヨーロッパ封建制下での貴族の悲恋を描いたフランス映画「うたかたの恋」(1935(昭和10)年製作)。作品的には評価の低いアメリカ映画「ユーコンの叫び」(1938(昭和13)年製作)などの“お蔵入り”映画の公開が許され、1947(昭和22)年2月から全国上映された。

「キューリー夫人」昭和21年
「キューリー夫人」昭和21年

一方、新規輸入のアメリカ映画については、連合国軍総司令部(GHQ)の息のかかった新組織、セントラル映画社による配給のみ許され、同じ年の2月から第1弾「キューリー夫人」(1943(昭和18)年製作)と、「春の序曲」(同年)の2本が公開された。

入場料金は、邦画の3倍の10円という高額だったが、外国映画に飢えていた庶民が劇場に殺到した。

この年公開された作品は、ほかに「カサブランカ」(1942(昭和17)年製作)や、「チヤップリンの黄金狂時代」(1925(大正14)年製作)、などがあった。

「愛染かつら」が空前の大ヒット

終戦直後に始まる第1回の映画ブームは、もの凄いものがあった。そのピークは、1946(昭和21)年の正月興行である。むろん各社とも、こぞって新作を出したのだが、現場はまだフィルム不足だった。

このため、札幌の松竹系の遊楽館と札幌劇場では、7年前の1939(昭和14)年11月に封切られた「愛染かつら」(監督・野村浩将、原作・川口松太郎)を再上映した。これがどういう訳か空前の大ヒットとなった。

「愛染かつら」昭和21年
「愛染かつら」昭和21年

「とにかく、恐ろしいくらい観客が入りましたよ」と、元・九島興行社長の九島勝太郎。

終戦直後から客の入りが突然多くなり、椅子も1人1脚では収容しきれなくなった。そこでベンチ式の、木の椅子にしたのだが、それでも足りなくて、ついにはベンチが壊れるありさま。

あぶないので壊れたベンチを取り除くと、その下に配管してあった暖房のパイプに腰かけて見ている状態だった。この時、「愛染かつら」を見にきた人の行列は、延々120メートルもの長蛇の列となった。

再上映でこんなに大ヒットは、かつてないことであった。「愛染かつら」だけではなかった。どこの映画館も、定員の3、4倍の観客が入っていた。

お涙ちょうだい物語続々

この「愛染かつら」、戦後の「君の名は」と共に絶大な人気を誇った“すれ違いドラマ” の代表作で、前篇、後篇、続編、完結編と続き、「花も嵐も踏み越えて…」で有名な主題歌、「旅の夜風」(作詞・西條八十、作曲・万城目正、唄・霧島昇、ミス・コロムビア)も大ヒットした。

内容は、子持ちの看護婦(田中絹代)と青年医師(上原謙)が恋におち、身分の違いや、子供の病気、さまざまなすれ違いといった障害を乗り越えて、ついには結ばれると言った、お涙ちょうだい物語。この大ヒットで、1948年に大映が製作するなど、以降、計7本が作られている。

正月気分も大分納まった1946(昭和21)年1月の末になって、いよいよ映画ファン待望の洋画がやって来た。まず札幌劇場で「ノンストップ紐育」(1937(昭和12)年製作)がかけられ、

ついで札幌東宝(元・宝蛍座)が「ユーコンの叫び」(1938(昭和13)年製作)を上映した。この時に、ちょっとしたハプニングが起こっている。

館内が客で大入り満員。そのとき椅子が後列から順に倒されていった。それでも平気で観客は立って見ていた。最初は自然と壊れたと思っていたのが、客席から、やっちゃえという声が上がって、後ろから順に椅子が壊されてしまつた。戦後の人々の心のすさみがそうさせたのだろうか。とにかくお客さんが詰めかけた。

Filed Under: 昭和(中期) Tagged With: 田中絹代

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著者紹介(西川昭幸)

アバター1941年北海道生まれ。東洋大学社会学部卒。
映画会社勤務などを経て現在、公益社団法人理事。
<主な著作>
「北の映画物語」(北海タイムス社)、
「美空ひばり公式完全データブック 永久保存版」(角川書店)、
「活字の映画館 明治・大正・昭和編」(ダーツ出版)、
「日本映画100年史」(ごま書房新社)、
「美空ひばり最後の真実」(さくら舎)、
「昭和の映画ベスト10、男優・女優・作品」(ごま書房新社)

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